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前村達矢のコラム
牛のいじめ

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2022年4月22日

牛を飼われている方々の中では牛同士の上下関係から起こるいじめというのは、マスで飼育している以上、常に気を配らなくてはいけないことの一つだと思います。
最近でもいじめから起こる悪影響を目にすることが続いたので今回はそれをお話ししようと思います。

下の写真の子はその1例なのですが、肩回りや尾根部周囲にところどころ毛が禿げている部分があるのがわかりますでしょうか?

この子は16頭マスで飼育されてた子でしたが、その中で立てなくなっているところを農家さんが発見し、僕らが診察にあたりました。
診察により、立てない原因は内転筋の損傷、つまりは股裂きしてしまったことによるものと考えられました。しかし、よくよく観察してみると写真のような傷が見つかり、根本的にはは群内で弱い子で、角でどつかれたり・乗られたりしたことが原因と思われました。

また、この子は食欲もなく胃動の低下もみられた為、血液を調べてみることにしました。その結果AST1500とかなりの高値で肝臓のダメージもかなりのものでした、、、
そして、現在もブドウ糖や強肝剤の点滴、そしてリカバリーMの経口投与等による治療が続いています。

いろんな肥育農家さんに話を聞きますが、やはりこのいじめ問題は厄介ですよね。流産や死産をしてしまったお母さん牛を診たときにも、それが直接の原因かは不明ですが身体を角でどつかれたような痕があり、現在詳細を調べているところです。
日々の管理の中で、自分の牛にこういった傷が見当たらないかなど、観察時のチェックポイントとしてお役に立てたら幸いです!
シェパードの過去のコラムでも「いじめ」と検索すると対策等色々と出てくるのでよかったら参考にしてみてください。

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