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前村達矢のコラム
子牛の食滞について考えていること

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2022年4月15日

子牛で食滞って結構あるのでしょうか?
というのも、はっきりと症状が出てわかりやすく疑わしい場合以外に、元気なんだけど下痢やガスを慢性的に繰り返す(そして、様々な内科的治療にビクともしない!)子が稀にいると思います。そういう子で、実は軽い食滞を起こしていることがあるんじゃないかと疑っているところです。

とはいえ、実際に子牛の食滞と診断をつけれた子はゼロに等しく、このままだとただの妄想になってしまうので少し調べてみました。
鳥取県の家畜保健衛生所の先生が公表しているデータによると、消化器疾患で死亡した1歳未満の子牛74頭のうち26頭の消化管内に毛球やロープ、粗飼料などの不消化物が含まれていたそうです。これは思ったより高い割合ですよね、、
もちろん、死亡してしまっている子の結果なので、すべての慢性下痢やガスにこの割合で食滞が起きているとは考えづらいですが、診療の視野にいれる価値はありそうです。

ちなみに、食滞が起きてしまう原因としては主に2つあるようで、一つは、空腹感を満たすために壁やら毛やらをなめたり、敷料を食べてみたりすること。もう一つは、シンプルに粗飼料の給与時期の早さや量が多いこと、のようです。

食滞治療には、ポリアクリル酸ナトリウムの経口投与がかなり良いのではと感じています(細かい粉末なのですが、水に溶かすとトロットロのトゥルントゥルンになり、いかにも「詰まってるもの流れていきそう¬ー」、と期待してしまうようなものです)。
慢性下痢やガスに困ったときは、子牛の住む環境や飼料給与を聞き、疑わしければ使用を検討しようかと考えています。

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