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松本大策のコラム
冬に痩せる?

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2022年4月11日

 先週宮崎に出張した際は、菜の花も桜も咲いていたのですが、栃木に戻り日光の霧降高原のコンサルに向かったところ、まだ雪が積もっていました。
 ノーマルタイヤだったので、山頂とかで道路にまで雪が積もっていたらどうしよう?と思いながら登りましたが、さすがに道路は乾いていてホッとしました。日本も広いものですね(3月末に書いてます😅)。

 ところで、みなさんの農場では冬場に牛さんが痩せてくることはありませんか?
 これは、肥育牛、繁殖牛、乳牛、育成・子牛問いません。今回は冬場に痩せる原因とその弊害及び対策についてお話しようと思います。

 まず、牛さんに限ったことではないのですが、体重を維持する、あるいは増体する、ということはどういうことか考えてみましょう。
 身体の成分の大半はタンパク質でできています。このタンパク質は毎日少しずつ壊れてしまうため、毎日補う必要があります。毎日食べ物を食べる必要のひとつですね。
 そして、身体(筋肉とか骨とか)を維持したり、あるいは増体するためには、食べた(吸収した)タンパク質を「身につける」必要があります。これをタンパク同化作用と言います。
 タンパク同化のためには、ビタミンやタンパク同化ホルモンが必要なのですが、もう一つ大切なものがあります。それは、「吸収したタンパク質を身につけるためのカロリー」です。

 簡単に説明すると、吸収した5個のタンパク質を身につけるには5個のカロリーが必要なわけです。
 ところが冬場は寒さから身を護るために、体温維持するためのカロリーが他の時期よりもたくさん必要になります。春、夏、秋は与えている飼料のタンパク質とカロリーのバランスが取れているのですが、冬場は体温維持のためにカロリーを消費しますから、他の時期と同じタンパク質とカロリーのバランスの飼料給与では、タンパク同化に必要なカロリーが不足するのです。

 次回へ続く

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