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松本大策のコラム
またまた牛さんと漢方薬

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2022年3月28日

 みなさん、お元気でしょうか。シェパードの松本です。先日、宮崎に出張したところ、桜が八分咲で「ああ、南九州って暖かいなぁ」と感じ、ちょっと里心が付きました。遠方からみなさんの農場へ来てくれた牛さんたちも、風の匂いなどでそんなことを感じてるのかな?とふと思いました。

 ところで今回は、またまた別の漢方薬のお話です。
 牛さんが、他の牛に角で突かれたり、牛棒内の突起にブツケたりこすりつけたりして、血腫や水腫などの、いわゆる「アタリ」ができることがありますよね。日に日に膨れてくるようなら内出血からの血腫を疑って、ビタミンAや輸血などで内部の出血を止めますが、膨れるのは止まっていて、あるいは少しずつ膨れた部分が下に下がって来るようなタイプの場合が問題です。特に肥育牛では、内部の損傷を早く治癒させないと枝肉にした際にアタリとかカツジョ扱いになります。出荷まで一月もあるようなら3日ほど出荷規制の短い抗生物質とデキサメタゾンで中の損傷の治癒を図り、膨れた腫瘤自体はさほど気にせず出荷すれば、枝肉に問題なく、腫瘤は皮の方にくっついて剥がれてくれます。

 しかし、乳牛や繁殖母牛では、デキサメタゾンは流産や出荷規制の問題で使えません。大抵は塗り薬でしのいでいますが、大した効果はありません。もちろん血腫がひどい場合は、輸血とかも必要になってきますが、そこまでやる必要がない場合、動物用の薬では、本当に選択肢が少ないのが実情なのです。

 そこで今回おすすめするのは、ドラッグストアで売っている漢方薬の「治打撲一方」というものです。これは、名前の通り打撲の傷を内部から修復してくれます。内出血などにも大変効果を感じていますし、流産の心配もなく生薬ですから出荷規制もありません。値段も安く、ヒトで1回20円以下。牛さんなら体重100キロあたり一袋を1日2回与えればよいです。

 僕は抗生物質や出荷規制のかかる薬剤の使用をできるだけ減らしたいと考えています。興味のある方は、ぜひ試してみてください。

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