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                No.29 不受胎牛を早く見つけよう | 
               
             
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               2022年4月7日 
              肉用牛ではまだエコーによる妊娠鑑定が一般的ではないでしょうか。最近、エコーで早めに妊娠鑑定をしてほしいという依頼が増えてきたので、その目的と注意点について書こうと思います。 
<目的:早く不受胎牛を見つける!> 
エコーを使う場合、授精後早期(30日頃~)から妊娠鑑定することができ、不受胎牛を早く摘発できます。これが早期妊娠鑑定の目的です。発情周期の2周期目(授精後42±3日)までに確認しておけば、空胎の場合は次の発情を見つけて授精ができます。妊娠の有無がわからないまま観察するよりも、空胎だとわかっている方が発情を見つけようという意識が働くので発情発見率は上がると考えられます。 
また、双子、胎子の心拍の確認も可能です。双子はこれまでは生まれるまでわかってなかったから確認しなくても大丈夫よ!と言われますが流産や早産、難産の危険も上がるので知っておくに越したことはないと思います。 
<注意点> 
この時期に受胎が確認されていてもまだ胚死滅する可能性があるので、60日頃2回目の妊娠鑑定をする必要があります。 
<有効なケース> 
・再発情を見逃すことが多い 
・発情徴候が弱い:肉用牛では多くの個体で発情徴候は分かりやすいのではないかと思います。しかし見えにくい牛も一部ではいますよね。2回分料金を払わなくてはならないのか…という金銭的な問題もあるので、そういった牛だけでもエコーでの早期妊娠鑑定をおこなうのも良いかもしれません。 
<エコーが無いなどの理由で早期妊娠鑑定がおこなえないとき> 
エコー以外にも、PAG(Pregnancy Associated Glycoproteins 妊娠関連糖蛋白)の測定により早期妊娠鑑定(授精後28日〜)がおこなえます。PAGは胎盤で生成され末梢血中に出現します。酪農家さんでは乳汁を使ったPAG検査を行なっている方も多いと思います。肉用牛では難しいのでは…と思われるかもしれませんが、血液を用いて診断することもできます。キットの紹介も載せておきます。 
血液を用いたPAG検査キット:Alertys RVPT 牛用妊娠検査キット(アイデックス ラボラトリーズ)  
シェパードのYouTubeでも紹介しています↓ 
Pregnancy test using blood  血液を使った妊娠鑑定 
 
  
  
  今週の動画 
【Bovine papillomatosis 牛乳頭腫症】 
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