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藤田真千子のコラム
No.28 人工授精技術向上のために ~頸管を通したい~

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2022年3月31日

以前、人工授精が難しいのは授精器が腟壁に引っかかって外子宮口にたどり着けていないからだ、というコラムを書きましたが、外子宮口付近にたどり着いても頸管を通せないこともあるとの声をもらいました。今回は頸管を何としても通すぞ!!という内容です。

頸管を通しにくいと感じるのは頸管をしっかりつかめないときだと思います。図のように人差し指と中指で頸管を挟み、親指で外子宮口を触ります。親指に授精器をあてがって、親指をどけて外子宮口から頸管へ挿入します。これは私がやりやすいと思うやり方ですが、だいたい外子宮口を外すことはないかなと思います。
その後は頸管を下から包むように持ち上げ、ヒダを通過させます。授精器を動かすのではなく、頸管を操作するようにしてください。頸管を上下左右に動かして、頸管のヒダを抜けていきます(授精器は前後のみ動かします)。抜け道は必ずあるはずです。

・外子宮口が分からない…たまに頸管が真横を向いていたりすると外子宮口の位置がわからなくなるので、子宮からたどるのが良いと思います。
・授精器の先端がどこにあるかわからなくなる…直検をしている手で先端を探します。
・高齢で子宮が腹腔内に落ちていて頸管が遠い…この場合は下から頸管を持ち上げることが難しいため、ヒダの通過が難しいかもしれません。上から頸管をつかみ左右に振りながら頸管を通過させる感じでしょうか。

事前にしっかり直検して、除糞、お尻の洗浄、尻尾の固定などの準備を完璧にして授精に挑むと落ち着いてできると思います。
 
 
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