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前村達矢のコラム
元気になってほしい、、!

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2022年3月25日

現在、死産の後に食欲不振になってしまった母牛を診ているところで、少し気になっている子なのでコラムとしてご紹介したいと思います。

どうして気になっているかというと、元々かなーり元気があって近づくと少し危ないくらいの子だったんです。それがなんだか大人しくなって、熱は無いもののあまり立ち上がらずに毛も禿げてきている状態でギャップがすごかったから余計なんです汗

診察では、産道に手を入れて、傷が出来ていないか・胎盤の残り具合などなど確認しました。傷は無さそうでしたがやはり胎盤はまだ残っていましたね。

胎盤停滞で困ってしまうパターンの一つに、頸管に胎盤が詰まってしまい餌食いが落ちてしまうことがあります。なので、早速頸管付近や簡単に取れるところは取り除いてみました。ただ、あんまり一生懸命に胎盤を剥がそうとすると、子宮を傷つけてしまい新たな感染の原因になってしまう恐れもあります。特に、今回の子は死産後の食欲不振という状態だったので、元々生殖器になにかしらの感染があった可能性もあることから一部の胎盤はそのままに残しておきました。

ただ念の為、胎盤排泄を促してくれないかと期待を込めて(+産後の低カルシウムの予防も)、カルシウム剤を追加で入れておきました。数日以内に胎盤が出れば1番ですが、長い時間をかけて腐ってドロドロ少しずつ出ることもあります。いずれにせよ、感染の恐れが高い最初の1週間に抗生剤を続けることで状態の悪化を防げればと思っています。

現在の処置は
①子宮炎等の感染症予防にペニシリン10mlを1週間
②エネルギー代謝改善や肝機能サポートにリカバリーM100g/日の飼料添加を10日間
③子宮回復の為のビタミン剤
④痛みのコントロールや炎症を抑える為の抗炎症剤
等を行い経過をみている最中です。

また元気な姿を見せてくれるのを楽しみに状態みていきたいと思います。

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