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藤田真千子のコラム
No.26 発情後出血

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2022年3月17日

発情の後、血液の混じった粘液が尻尾やお尻に付いていることがあります。これは発情後出血と呼ばれ、発情が2-3日前にあったことを示しています。

<どこからの出血?>
出血は子宮内膜の血管が破綻することで起こります。発情時にはエストロジェン(女性ホルモン)の作用により血流が増え、子宮内膜の充血や浮腫がみられます。発情後24~48時間後には子宮内膜の血管が破綻し、点状出血がみられます。その後腟を経て外陰部から血が出てきます。

<出血は排卵の証?>
たまに排卵後出血という方もいますが、正しくは発情後出血といいます。というのも、出血=排卵 ではないからです。健康な牛であれば出血があれば発情が来て排卵したと考えて良いですが、排卵障害の牛では発情がばっちり来ても排卵できないまま出血していることがあります。

<出血は良い発情の証>
健康な牛では、出血がある場合は無かった場合より受胎率が良い傾向であること、出血があった牛では発情行動が強く表れていることも報告されています。発情後出血は良い発情の証だと言えますね。

<発情周期の推定に!>
出血をみたら発情後2~3日(未経産牛では発情翌日のこともある)と考え、オブシンクなどのプログラムに入ったり、次の発情を待つことができます。受精卵移植では、発情を見逃していても出血の5-6日後に行えば、発情確認の場合と同様に受胎するという報告もあります。発情を見逃してしまった場合でも、出血が確認できれば移植してみても良いですね。
 
 
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