(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
前村達矢のコラム
中耳炎の治療

コラム一覧に戻る

2022年3月11日

現在、マイコプラズマに感染し中耳炎に子牛の治療を行なっています。

症状は、時折繰り返す発熱や右耳の下垂、視点が合わなかったり瞼が重たかったり、おそらく顔面神経麻痺もあり哺乳欲はあるもののうまく飲めずによくこぼしてしまうという状態です。
  
マイコの特徴として、耳が下がるというのは1番メジャーなものかと思いますが、他にも神経が障害されるというのも特徴の一つですね。これはマイコが感染する中耳の近くには目玉を動かす神経である動眼神経や外転神経や表情を作る筋肉を支配する顔面神経などが通るからと考えられています。
治療中の子には現れていないものの、迷走神経を障害することで消化管がうまく働くなり慢性的にガスが張るなど、実に多彩な症状を起こす病原体だと実感しています。

治療はマイコそのものを叩く抗生剤、マイコに侵されて機能不全に陥った神経の回復を狙う処置、炎症を進めてしまうサイトカインを含む膿を直接除去する耳洗浄行なっています。具体的には、抗生剤にニューフロールやバイトリル・神経賦活剤にはビタミンB1.6.12群が含まれるノルニチカミン、フルスル、デキサメタゾンなどの薬を使っています。

症状が進むにつれて改善が難しくなる病気ですが、なんとか良くなるといいなと思っています。

|