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前村達矢のコラム
呼吸器症状には要注意

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2022年3月4日

先日「4ヶ月齢の牛が風邪を引いていて、結構酷そうだ」との連絡を貰い、診療に向かいました。

農場に到着して早速その子の姿をみると、頭を下げて普通の子よりも頑張って呼吸をしている状態で、口からは泡に近い涎が出ているときました。

これは重症だ、、と思いつつ急いで診察と治療を行います。熱も40℃を越えていたので、抗生剤とデキサメタゾン、なんとか肺の水腫を取ろうと利尿剤・高張食塩水を入れてひとまず処置は終えました。

と、ここまでの状況でアドレナリンがドッと出ていましたが、少し落ち着いて農家さんと話をしているとどうやら別の子も風邪で餌食いが悪いよう。

よし、まずは熱を測ろう、と体温計を入れると”40℃” の表記。
あれ?この子も結構熱が高い、、でもさっきの子よりは元気もあるし呼吸もまだ落ち着いてるな、、等々考えていると
 
 
「実は、あと10頭ほど餌食いが悪い牛がいるんです、、」と驚きの稟告。
 
 
とりあえず全頭体温測定をすると殆どが40℃付近の高熱を出している牛でした、、
幸い1頭目に診た子程症状が重い子はいませんてしたが、やはりここまでの感染の広がりからするにウイルス感染、特にRSウイルスの感染を疑いました。

その日は抗生剤による症状の緩和と二次感染予防をしましたが、以降は麻黄湯という漢方薬による治療兼予防を試みています。
なによりまずは早く回復してくれると良いですが、やはり感染力の高い病気は怖いですね。

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