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前村達矢のコラム
重症肺炎のこわさ

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2022年2月25日

那須塩原では、積もるほどの雪が降る日や風がビュービュー吹く日など、まだまだ寒さが続いています。そういう日はやはり、熱を出したり、下痢をしたり、場合によっては低体温でぐったりしてしまう子牛の診療が増えてきます。
他にも親付の子牛なんかでも白っぽい下痢が夏に比べても多いように感じています。これも寒さの影響によりお母さん牛の乳質が変化している影響もあるのではないかと思っています。はやく暖かくなるといいですね~。

話は変わりますが、先日子牛の解剖を行って改めて肺炎の怖さを実感したので今回はそのお話をしようと思います。

解剖の結果、重症肺炎をきっかけに一部の肺内に水がたまってしまうことで、空気の交換ができずに溺れたようになってしまう、いわゆる肺水腫と呼ばれる状態になっていました。また、一部の肺が肺水腫になったことで空気の交換ができないために、残りの機能している肺が代わりに頑張ろうとしてパンパンに空気を取り込み逆に機能不全に陥る代償性肺気腫という状態にもなっていたと考えられました。
この子は35℃代の低体温にもなっていたので、おそらく寒さによる影響に加え、体中の細胞への酸素供給も不十分だったのでしょうか。輸血や保温で少しずつ体温は回復し一度は38℃代まで体温も回復したのですが、その後も活力が戻ることはなく助けることはできませんでした。

最近では松本獣医師がよく試みている漢方薬による治療が、肺炎治療にも良い効果を示していると感じています。抗生剤や抗炎症剤での治療に反応せずに、聴診器を当てるとゼェーゼェー、ピューピュー、ゴリゴリなっていたような子も、漢方薬での治療後に別の牛かと思うくらい肺音が綺麗に聞こえたので驚きました。長引くと特に厄介な肺炎ですが、あきらめずに色々と模索していきたいですね。漢方薬での治療も、良い結果を重ねてまたコラムでご紹介できればと思います。

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