2022年3月7日 「お産した母牛がエサ残すんだよね」という連絡を受けてとある牧場へ…。 「お産後」というキーワードからとある病気を疑っていました。そうです。何を隠そう、それが今回のテーマである低カルシウム血症(以下、低カル)です。もちろん、分娩時の無理なけん引などによる産道裂創や骨盤周囲の神経損傷、胎盤停滞など、分娩後に母牛が食欲をなくす原因はいろいろとあるのですが、意外と低カルが多いです。低カルは乳牛の病気であるという印象が強いので見落とされがちなのですが、黒毛和牛でも意外と遭遇する機会は多いです。 今回の症例は産後1日目。起立欲が弱く、飼槽には給与された飼料がほとんど手つかずで残されていました。毛ヅヤが悪く、茶色っぽい毛。元気もあまりありません。立たせたあともフラフラと力なく歩きます。そして血液検査をしてみると、カルシウム5.1mg/dL。 やっぱりカルシウムが低かったなー 何をそんなに驚くのでしょうか。それもそのはず、これまで見てきたどの低カルよりも低い数値だったからなのです。これまで見てきた低カル牛の血中カルシウム濃度はたいてい6~7台の数値であり、それ以下はいませんでした。この母牛に一体なにがあったのでしょう。カルシウム剤の補給(飼料添加含む)によって食欲は翌日には回復しましたが、非常に驚かされた症例だったのでこの場を借りてご報告します。 前の記事 第358話「カメラでお産の介助が減った???」 | 次の記事 第360話「いまこそマニュアル化をすすめよう」 |