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藤田真千子のコラム
No.24 直腸検査時のワンポイント

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2022年3月3日

直腸検査は、繁殖はもちろん診療においても様々な情報を得ることができます。
今回は直腸検査を始めた方向けに、卵巣・子宮を触りやすい環境を整えるためのちょっとしたポイントについてお話ししたいと思います。

〇努責とうまく付き合う
慣れないうちはしっかりと糞を掻き出します。努責が来たら抵抗せず、直腸の側面にぴったりと腕をつけ糞を通過させるか、努責に合わせて糞を掻き出します。糞を通過させるときは、自分側に腕を寄せておくと浴びなくてすみます。

〇直腸に空気が入ったら
直腸に空気が入っていたり、緊張していて触りにくい場合もあります。この時は、直腸の襞に指をかけてゆっくりと手前に引くと徐々に空気が抜けて直腸が緩みます。

〇膀胱がパンパン
膀胱に尿がたくさんたまっていると、その圧迫で子宮が左右に押しやられていることがあります。卵巣も触りにくくなるので、いったん排尿させるとよいと思います。外陰部の下あたりを優しく撫でると排尿してくれることが多いです。

〇腕が圧迫されてしんどい
高さが足りていないかもしれません。微妙に高いけどいける!と思って頑張ると腕がしびれて筋肉痛になってしまいます、無理せず踏み台を使いましょう。背の高いF1やホルスタインは女性にはきついですよね。私は折り畳み式のものを持ち歩いています。

〇たまに気腟の子
腟に空気が溜まっている牛がたまにいます。腟を直腸越しに押して空気が抜ければいいですが、なかなか難しいです…そういう牛はそのまま直検しますが、こういうケースもあると知っておくと焦らずに済むと思います。

あとは、いきなり尻尾を掴んで手を入れようとするとびっくりして嫌がるので、牛とのコミュニケーションも大切ですよね。

最初のうちは、卵巣が触れたり触れなかったりして一喜一憂してしまうと思います。いつもよりなんだか触りにくいなというときは、この辺りをチェックしてみるとよいかもしれません(^o^)
 
 
今週の動画
「分娩後の起立不能 【Difficulty standing after calving in breeding cows】」

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