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藤田真千子のコラム
No.22 受精卵移植(融解から移植まで)

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2022年2月17日

昨年の10月ころから受精卵移植を初め、ようやく慣れてきました。先生に移植してもらうと大体受胎してるよ!と言っていただけるようになり、嬉しい限りです。今まで見よう見まねで移植を行っていましたが、先日受精卵関係の講演会を拝聴し、気を付けるべきポイントがたくさんあることが分かりました。

移植の際の注意点
<融解~移植器へのセット>
・手は思っているより汚い
授精の時よりも汚染には気を付けなければなりません。洗っていない手は雑菌まみれです!きれいに洗ったとしても蛇口が汚れていたり、消毒スプレーのボトルが汚れていては効果が半減するので注意が必要です。私は何かしら触ってしまうので、直前にグローブを交換しています。
・風に注意
軽風でも細胞に障害を与え、生存率がかなり低下するようです。風の入らない小屋などで準備できればよいのですが、そうもいかない場合もあると思います。そんな時は空気中での保持をプラスチックの容器内で行うとよいそうです。風が強いときは上部も手でふさぎます。これはいいな~!と思いました。どうにかして手や体で風を遮ろうと頑張っていたので…(;^ω^)
・融解方法に注意
指定通りの時間・温度での融解が重要です。受精卵により融解方法は微妙に異なるので、農家さんに確認が必要ですね(受精卵を受け取った際に指示があったと思います)。時間については必ずストップウォッチを準備しましょう!とのことでした。また受精卵に関しては、一度上げた温度は下げないことが大切です。30℃で融解したら移植までその温度をキープするよう意識します。精液は融解時の温度のまま置いておくと活力が低下していくそうなので、融解後は常温で維持します。
・移植器を温める
発泡スチロールの箱にお湯で温めた保冷剤を敷き詰め、この中で温めるのがおすすめだそうです。

<移植方法>
・移植器のカバーを破らないように…
指に潤滑剤をつけておいてその間を滑らせる方法があります。先端には付着しないようにします。もちろん腟鏡を使うのも良いです。
・移植器を進めるときは手の中で
子宮内膜を傷つけないように手の中で進めていきます。移植器のみが先に行くことのないようにします。
・シリンジは4~5秒かけてゆっくり押す
最後に受精卵を送り込むとき、勢いよく押し出すと圧力が一点にかかってしまいます。ゆっくり押し出すと面で押すことができ卵へのダメージを抑えられます。

移植の作業やレシピエントチェックなどに意識が行き、受精卵の取り扱いを軽んじている部分があったのでもっと気を付けようと思います。さらに技術を磨いて生産性向上に貢献したいと思います(^o^)
 
 
今週の動画
「重大疾病を見逃さないために~牛群観察のポイント~」

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