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蓮沼浩のコラム
第690話:スタグフレーション?

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2022年2月15日

 最近テレビのニュースを見ている時によく突っ込みをいれるので、家族から大いに煙たがられています。お酒の量も増えてきました。カミさんの口癖は「あ!!また飲んでる!!!(怒)」です。どうしようもないクソ親父です。

 前回のコラムで配合飼料や粗飼料の価格が高騰しているという話をしました。しかし、価格の高騰は配合飼料や粗飼料だけではありません。当然人様の世界も様々なものの価格が上がってきています。今までは「ステルス値上げ」といい「値段は同じだけど内容量が減っている」ぱっと見ではわかりにくい値上げが広がっていましたが、今やはっきりと目に見える形で食料品等の価格の値上げが始まっています。食料品以外ではガソリン価格の高騰も目が離せません。インフレーションにもいろいろ種類がありますが、どこの業界もいわゆる「コストアップ・インフレーション」に見舞われているように思います。

 日銀の「生活意識に関するアンケート調査(第88回)」をみると現在の物価に対する実感は1年前と比べて2021年12月の結果では77.4%の方が「上がった」と答えています。2021年6月56.4%、2021年9月61.5%となっているので、物価に対する実感は確実に上がってきています。

 1年前に比べて現在の物価は何%程度変化したかという問いには、2021年12月では平均値+6.3%、中央値+5.0%との結果が出ています。大体去年と比べて5%ぐらい上がっていると感じている方が多い結果となっています。平均値の動きをみると2021年6月+3.9%、2021年9月+4.4%となっているので物価の上昇が続いていると判断できそうです。小生の感覚とも大きくずれている感じはしません。

 日本銀行は2013年1月に「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」という共同声明を発表しました。「異次元の金融緩和」「黒田バズーカ」などという話題もありました。長期のデフレ脱却のためには必要なことだったのでしょう。ただ、バズーカをぶっ放しても、なかなかデフレから脱却できていなかったように思いますが、ここにきてなんだか様相がかわってきているように感じます。

 先日日銀は「指値オペの実施について」という発表を行い、その中で長期国債の買入れについて10年利付国債を0.25%で「無制限」に買い入れると述べています。「無制限」という表現がちょっと怖いですね。未来のことはもちろんわかりません。しかし、円安がすすみ、配合飼料価格や粗飼料価格に影響がでないことを切に願います。
 
 
 スタグフレーション・・・景気が後退していく中でインフレーションが同時進行する現象のこと。

 景気の停滞は需要が落ち込むことからデフレ要因となるが、原油価格の高騰など、原材料や素材関連の価格上昇などによって不景気の中でも物価が上昇する。1970年代のオイルショックの時にこのような状況になっていた。

 今の日本がもしかしたら「スタグフレーション」に突入しているかもしれないという認識を持っておくことは、非常に重要なことだと小生は考えています。

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