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蓮沼浩のコラム
第689話:輸入粗飼料

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2022年2月1日

 夜寝る前に布団の中で本を読むのが大好きなのですが、最近はほとんど読むことができずに、一瞬で寝てしまいます。読みたい本がどっさりたまっています。
 
 「先生、今までは配合飼料高かったけど、今度は粗飼料もとんでもなく高くなってきた。おまけに物が手に入らないんだよ・・・」

 最近往診を回っていると、農家さんがみなさん口をそろえて言っています。配合飼料と粗飼料価格の高騰は畜産経営に大きな影響を与えています。

 何故このような状況になっているのか??

 多くの要因があると思いますが、中でも日本の輸入粗飼料の現状は国際的なコンテナ輸送の需給逼迫が大きな要因を占めているといわれています。

・ 令和2年後半以降の中国から米国向けのコンテナ輸送の急拡大
・ 北米西海岸の港湾における貨物の滞留等を背景とした輸入遅延

 小生は貿易や物流に関しては全くの素人であり、さっぱりわかりません。しかし、農林水産省が以下のように述べていることには留意しなくてはいけないと思います。

 「世界的なコンテナ物流の状況等をふまえると、当面は粗飼料の輸入遅延の改善が見込めず、需給も逼迫基調で推移する可能性がある」
 
 「当面」という表現がどのくらいの期間を指しているのかは定かではありませんが、「すぐに改善」はなさそうです。農林水産省はこのような状況であるために、牛の飼養者に対して様々な取り組みを行うように通知をだしています。小生なりにざっくりとまとめてみると以下のようになります。

■粗飼料給与に係る一般的事項
 ◎ 給餌回数を増やし、残飼が生じないように。
 ◎ 入手可能な粗飼料への切り替えと飼料設計の見直し。
 ◎ 適切な保管。
 ◎ 未利用資源の活用の検討。

■当面の粗飼料確保に向けた取組
 ◎ 仕入先の分散および調達ルートの多様化。
 ◎ 田植え前の水田の有効活用。
 ◎ 稲わらの収集と活用。
 ◎ 通用使用している輸入粗飼料の草種が供給不足となった場合の代替飼料の検討。
 ◎ 配送コンテナの早期返却。

■国産飼料の増産に向けた中長期的な取組
 ◎ 自給粗飼料生産の開始、作付けの拡大。
 ◎ 耕種農家・飼料生産組織への生産の依頼。

 大変な面も多いと思いますが、農家さんも出来るところから今年は取り組んでいく事が重要ではないかと小生は考えています。

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