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第688話:油脂と疾病予防 その11 |
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2022年1月18日
トンガの噴火が非常に気になります。世界に与える影響は色々な面で非常に大きいと思われます。今後の動きを注視していきたいと思っています。
これまでいろいろな角度からω3を中心とした不飽和脂肪酸の効能について紹介してきました。不飽和脂肪酸は種類が多く、なかなか理解するのが難しい面もあります。しかし、これからの畜産において、小生は不飽和脂肪酸の果たす役割はますます増えてくると思っています。
・配合飼料価格、粗飼料価格などが高騰しています。そのような中で、この不飽和脂肪酸をうまく使うことで飼料効率を上げることが出来ます。
・不飽和脂肪酸をうまく使うことで、牛さんのエネルギー(総コレステロール)を上げ、疾病予防につなげることができます。
・ω3脂肪酸には非常に強力な抗炎症作用があり、牛さんの健康維持に効果が期待できます。
実は小生、今回の一連のコラムを書くためにたくさんの論文を読みました。ただ、驚いたことに、その中で一番よく目にしたのが実は牛さんのメタン発生の抑制に関する論文でした。
今、畜産業界ではカーボン・ニュートラルの流れにどのように対応していくかという点に注目が集まっています。
農林水産省は「環境負荷軽減に向けた酪農経営支援対策」を行っており、環境負荷低減に取り組んでいる酪農家さんに交付金を交付してくれます。この環境負荷低減に向けた取り組みの中に、新たに地球温暖化防止の目的として「不飽和脂肪酸カルシウムの給与」が新設されています。今後酪農家さんで飼料中に不飽和脂肪酸カルシウムの添加をするところが増えてくるかもしれませんね。
まだ肉用牛農家さんにはこのような交付金はありませんが、もしかしたら今後出てくるかもしれませんね。
ω3脂肪酸を肉用牛に使用した効果についての論文の数は多くありません。これから、子牛育成、繁殖、肥育などさまざまなジャンルで研究が進めば面白くなってくるのではないでしょうか。小生も現場で情報を集めながら今後の動きに注目していきたいと思っています。
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