(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
加地永理奈のコラム
寒いときに熱を産生するしくみ②

コラム一覧に戻る

2022年2月2日

今日の日付は2022年2月2日で「2」だらけの日ですね!今回のコラムも、前回の続きで熱産生のしくみについて2回目です。

しくみ②「非ふるえ熱産生」
前回ご紹介した「ふるえ熱産生」とは別に、震えずとも熱を産生してくれるしくみがあります。寒いとき、ふるえ熱産生より前にまず起こるのが「非ふるえ熱産生」です。これには脂肪細胞が関わっています。
脂肪細胞と聞くと皮下脂肪や内臓脂肪が思い浮かびますが、これらは白色脂肪細胞といって栄養を脂肪として細胞の中に蓄えています。これとは別に、私たちの体内には褐色脂肪細胞というものも存在していて、これはエネルギーを作り出すミトコンドリアをたくさん持っています。その役割は白色脂肪細胞とは対照的で、脂肪を燃やして熱を産生し体温の調整をしてくれる細胞です。寒い環境下では、脳からの指令で交感神経の活動が高まり、この褐色脂肪細胞が脂肪を燃やしてくれることで、ガタガタ震えなくても熱を産生してくれています。
赤ちゃんが生まれるとき、体内の37-38℃から10℃も20℃も低い外界に出てきます。体も濡れていて、体温は一時的に下がってしまいます。この体温を元に戻してくれる働きも褐色脂肪細胞が担っています。そのため生まれたての赤ちゃんは褐色脂肪細胞をたくさん持っています。
このように寒さが刺激となって脂肪を燃やすというしくみがあるため、冬の方が痩せやすいとも言われています。しかしこの褐色脂肪細胞は、赤ちゃんの頃に多く成長につれて段々と減っていくこともわかっています。ただ全く無くなるわけではなく、肩や首のまわりには残ります。そして寒いところで活動している人の方が多くの褐色脂肪細胞を持っているそうです。ちょっと寒さに耐えて外で活動するだけでも、ダイエットになるかもしれませんね。

|