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加地永理奈のコラム
寒いときに熱を産生するしくみ①

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2022年1月26日

牛も人も、寒い中で体温が低下してしまわないように熱を産生するしくみを持っています。

しくみ①「ふるえ熱産生」
皆さん今の寒い時期外に出ると、体に力が入って小刻みに動いてしまったりぶるぶると震えたりしますよね。これが体温低下を防ぐために備わっている、重要な熱産生のしくみのうちの一つです。
私たちの体には、皮膚に温度センサーが存在します。そこで寒さを感知すると、脳にその情報が伝わり、脳から熱を作り出すよう指令が出ます。それに従って、筋肉がエネルギーを使って収縮、ふるえを起こして熱をつくります。
このふるえ熱産生は、無意識のうちに起こる反応(不随意運動)です。寒くて震えているとき、顎がガタガタしてうまくしゃべれなくなりませんか?これは筋肉を意識して動かすこと(随意運動)よりも、無意識で動くふるえ熱産生が優先されているためです。

子牛は体重に対する体表面積が広く、熱が逃げやすくなっています。加えて筋肉が少ないため、このふるえによる熱産生量が少なく、寒さに弱くなってしまっているのです。そのため、子牛の期間は特に寒さ対策をお願いしています。
また、このふるえ熱産生にはエネルギーを消費します。エサを食べられていないと、体を削って熱産生をしてしまうので注意が必要です。

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