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加地永理奈のコラム
寒い時期に子牛が生まれたら

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2022年1月19日

厳寒期と言えるこの時期、子牛が生まれたらまずしていただきたいのが、子牛を乾かすことです。濡れた時間が長いほど水分蒸発とともに体温がどんどん失われていき、耳、鼻、脚などから冷たくなっていきます。すると、体温維持のためにエネルギーが大量消費され、哺乳欲は低下し、免疫の低下にも繋がります。それを防ぐために、生まれてからなるべく早く乾かしはじめることが大切です。

乾かす方法としては、親に舐めさせる(リッキング)、乾いたタオルでよく拭く、ドライヤーを利用する等があります。そして今の時期にぜひ活用していただきたいのがカーフウォーマー(子牛加温器)です。ドーム内に子牛を入れ下から温風を当てて対流させることで、子牛を乾燥、保温します。

昨年寒くなる前に導入した農家さんで実物を見せていただきました。人も入れそうな大きさです。
2回目の初乳の飲みが良くなると聞き導入を検討したそうで、導入には補助金も利用できるとのことでした。また実際にこの冬下痢の診察が減っているようです。寒さストレスが軽減したのではないでしょうか。その後の増体も期待できます。
注意点としては、生まれてすぐにカーフウォーマーにいれたとしても、初乳はしっかり2時間以内に与えてください。また長く温めすぎると脱水を起こすので、定期的に子牛を観察するようにしてください。(決して一晩放置などはしないでください!)使い方の流れとして、生まれてすぐの濡れ子をカーフウォーマーにいれたあと初乳を準備し、用意ができたら一度カーフウォーマーを開けて初乳を与え、また閉じて乾かすのはいかがでしょうか。タイマー機能があるとちょっと便利かもしれませんね。

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