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藤田真千子のコラム
No.19 タンパク同化ホルモン剤使ってみました③球節が沈下した子牛・・・

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2022年1月27日

③球節が沈下した子牛(指節関節過伸展)への適用

球節の沈下(ねこあし、指節関節過伸展)という症状に出会ったことはありますか?
これは、屈筋腱などの弛緩により球節が過度に伸びている状態です。ナックリングとは逆ですね。ウマでは未熟子や双子での報告が多くみられ、後ろ足での発生が多いようです。
ウシでは比較的まれなだと思いますが、治療法が確立されておらずやっかいな症状です。

・軽度:球節は正常より沈下しており、蹄での正常な負重ができない
・中等度:蹄尖が浮いており、球節は低い位置にある
・重度:蹄尖が完全に浮いており、球節や繋で着地する

軽度な場合は、運動制限により改善することがあります。中等度~重度で球節に傷ができ、関節炎まで波及するか、脱臼を起こしてしまうと予後が悪くなります。なので、適切な処置が必要になります。ある報告では、蹄で負重できるようにゲタを付け治療していました(下図)。


(引用元:牛の解剖アトラス 増補改訂第2版 緑書房)

今回、2症例でタンパク同化ホルモン剤を使用してみました↓

①<左軽度、右中等度>両後肢球節の沈下(写真1-A)
簡易なギブスで固定したが改善せず。タンパク同化ホルモン剤を投与し、
10日後には改善がみられた(写真1-B)。2週間後に再度投与し、治癒した。

 
 
②<中等度>両前肢球節沈下・両前膝が過度に伸展(写真2-A)
簡易なギブスで固定したが改善せず。むしろ悪化し蹄尖が浮いていた(写真2-B)。タンパク同化ホルモンを投与し、11日後には改善がみられる(写真2-C)。2週間後に再度投与し、治癒した(写真2-D)。

治って良かった!!!ですが、反省点があります…(;’∀’)。長くなってしまうので、次回に持ち越します。

つづく
 
 
今週の動画
「重大疾病を見逃さないために~立ち方・歩き方編~」

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