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戸田克樹のコラム
第356話「寒気の時期こそ換気で歓喜」

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2022年1月24日

寒いですよね~。近ごろ家から、いや、布団から出たくありません。
私が義務教育を受けていたころ(遠い目…)、休み時間の度に先生から「窓をあけんね。ほらー。はよあけんか。空気を入れ替えんにゃいかんっち言うちょっどが(宮崎弁)」と言われたものです。あのころは「いやいや寒いでしょ」と(心の中で)反発していましたが、実は冬こそ寒気が大切なのです。先生は正しかったのです!

冬の換気は非常に悩ましいですよね。肥育牛や母牛のような月齢の進んだ大きい牛の場合はある程度の寒さには強いのですが、子牛はやはり気を使います。夏のように扇風機をガンガン回すと寒さで体調を崩してしまうでしょうし、「寒くないように」とコンパネで仕切ってしまうと今度は敷料からの臭気が呼吸器粘膜を痛めてしまいます。また、地域によっては夜に氷点下となる地域もあるのでずっと牛舎を開けっぱなしにすることができないところもあるでしょう。

夜に換気ができないのであればせめて日中はずっと空気が通るようにし、扇風機が牛舎内にある場合は、弱い風速で夜間も回しておくとよいと思います。空気の入れ替えができないときはせめて空気を動かしてあげよう、という考え方です。

「寒くてかわいそうだから」という理由で牛舎を締め切ってしまうと、その後呼吸器病が増えてしまいます。とくに群内の頭数が多いと糞尿から出るアンモニア臭が強くなり鼻や喉の粘膜がダメージを受けてしまいます。するとそこから容易にウイルスや細菌が侵入し感染が成立してしまいます。この臭気が低い位置(子牛の鼻の高さ)にたまることがないように、「定期的な換気」や「空気を動かす」ということを意識した管理が重要になります。冬季は気温とのかねあいで頭を悩ませることが多い換気ですが、皆様の牧場でできる方法を改めて考えてみるのもよいですね。実際に空気中のアンモニア濃度を測定するという方法も臭気を可視化できるのでおススメです。

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