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前村達矢のコラム
子牛の疝痛

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2022年1月14日

ここ最近、これまで勤めていた農場を退職するという話を役職問わずによく聞く気がしています。人それぞれ今の職場で働く理由や背景は本当に様々でしょうが、経営者や従業員のどちらかがコントロールできそうな範囲では、「目標」「役割」「評価」の3つを今の仕事で見直すことも重要なのではないかと思っています。少しでも前向きに働くことに繋がれば幸いです^^

さて、今回は子牛の疝痛についてお話したいと思います。

疝痛とは簡単に言えばお腹が痛いという意味ですが、実際に現れる症状としては写真のように座り込んで丸くうずくまる姿勢をとったり、立っていても後ろ足を頻繁にあげたり、ミルクを飲まなくなったりなどがあります。こういう子のお腹に聴診器を当てると、「キューッ~、、」だったり「ゴロロロッ!!」だったりといかにもお腹が痛そうな音が聞こえてくることが多いです。

原因としてはストレスなどによる自律神経の乱れ、もっといえば自律神経のうちの副交感神経の過剰亢進によって大腸がけいれんや収縮をすることで起きることが多いです。
このような原因で起きている場合には、抗コリン作用を持つ薬(パドリニウムなど)を使うと有効です。ちなみに、抗コリンとは副交感神経を働かせるアセチルコリンという物質を抑えるという意味ですね。

ただ、一度だけ抗コリン薬の使用後に便秘のような症状になってしまい軽度のガス腹になってしまったことがあります(*_*)。おそらく、蠕動運動が抑制されたことで便が大腸内にとどまってしまい、さらに異常発酵をしてのガス発生だったのではないかと思っています。
使用した薬の添付文書の副作用にもなかったですし、ほかにも色々な理由は考えられますが念のため使用後にはきちんと便が出せているかの確認までしていこうと思います。

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