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おいしい牛肉を求めて、三方よしの取り組み(3)

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2012年3月13日

おいしい牛肉を求めて、三方よしの取り組み(3)

BSEによる風評被害はすさまじく、当時はおいしさや価格よりも、消費者はとにかく安心、安全への保証が第一でした。そのための対策として独自のトレーサビリティシステム構築が必要だと感じたのです。

家畜改良センターが運営する個体識別情報検索サービスはみなさんご存知だと思いますが、消費者の求めるものはその先であることが、日々のお客様からの対話で感じることができました。
そこで、生産履歴の追跡に加えて、購入商品のBSE検査書や血統書、生産者情報を見せる仕組みを作ったのです。

http://www.omi-gyu.com/contents/tr/index.html

トレーサビリティシステムは、当社のネットショップ「近江牛.com」と連動させることにしました。
そして、「食の安全に挑むサイト」として2004年と2005年にSOHOホームページ大賞において審査員奨励賞を受賞しました。

翌年には、関西IT活用企業百撰において、優秀賞を受賞することができました。
さらに、2006年には、経済産業省IT経営百選において最優秀賞を受賞、2008年には中小企業経営力大賞においてIT経営実践認定をいただきました。

これらの受賞は、当社だけではなく、生産農家さんの励みにもなり、そしてお客様からみた「安心、安全」な牛肉を販売している店としての認知度をあげる効果にも繋がりました。

以上、3回に渡ってBSEの影響からトレーサビリティへの取り組みを書いてきましたが取組みによる経営的効果は、探される情報を発信することによって、全国から取引の要望が多くなりました。
もちろん、成約は確率的には少ないのですが、格付け一辺倒の牛肉の世界から、おいしさへの変化、手ごたえを感じることができました。

次に取り組んだのが、「健康でおいしい牛肉作り」です。
木下さんにお願いしたのが、無理なビタミンコントロールはせずに、放牧を取り入れて自然のままに育ててほしい。
ということです。

木下さんのリスクは、格付け無視の肥育方法では値段がつかないという点です。
例えば、A3ばかりでた場合、経営が圧迫されてしまうのです。

その点については、当社がすべて利益のでる価格で買い上げるということで了承してもらいました。

しかし、サシ重視の消費者に対して、赤身肉に価値を見出す消費者が少なく、ここから苦戦が続くのですが、思わぬ協力者が現れました。

(つづく)

(株)サカエヤ 代表取締役 新保吉伸
ホームページ: http://www.omi-gyu.com/

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