 |
おいしい牛肉を求めて、三方よしの取り組み(2) |
コラム一覧に戻る
2012年3月6日

ある日のこと、高校時代の同級生が訪ねてきました。
同級生は、農家さんへ婿養子に入り、近江牛(オウミウシ)を肥育していました。
「BSEの影響で出荷しても値がつかない、なにもしなければ廃業に追い込まれる」
そんなことを話していたように記憶しています。
この頃の農家さんは、市場へ牛を出荷するだけで、その後については
まったく知らないのが現状でした。すなわち、自分が大切に育てた牛が
どこで肉になって販売されているのかを知らないわけです。
生産と消費の断絶です。
一方、肉屋も同じです。
だれが育てたかなんてまったく興味がないわけです。
興味があるのは、格付けであり、サシの入り具合であり、雌か雄か、です。
私は同級生の案内で、何軒かの農家さんを案内してもらうことにしました。
農家の人たちは突然の訪問者に対してものすごく無愛想に応対してくれました。
そりゃそうでしょう、見ず知らずの肉屋が牛舎へやってきて、写真を撮ったりビデオを回したり、挙句には、ビデオにでてしゃべってほしいと言うわけですから。
(厳密には、見ず知らずではなく、セリ場で会うこともあるので、顔と名前ぐらいは知っている程度)
このときの映像は見るに耐えがたいものがありますので
2年前に新たに撮りなおしたものがこちらからご覧いただけます。
http://www.omigyu.com/
5軒目だったか、6軒目だったかに訪問したのが木下牧場でした。
近江牛は、宮崎や熊本から子牛を導入して飼養する肥育農家さんが大半ですが
木下さんのところは、繁殖肥育一貫の農家さんでした。
ご主人の幸雄さんと奥さんのその美さん、高校生の娘さん2人で切り盛りしている
小さな牧場ですが、その美さんの明るさが印象的でした。
繁殖肥育一貫に興味を持った私は、気がついたら木下牧場へ通うようになり、
行けない日は電話で質問攻めにするなど、この頃から365日、毎日のように
情報交換しながら現在に至っています。
ところで、生産農家さんを訪問していたのには、ちゃんとした理由があり
独自のトレーサビリティシステムを構築するためだったのです。
(つづく)
(株)サカエヤ 代表取締役 新保吉伸
ホームページ: http://www.omi-gyu.com/
前の記事 おいしい牛肉を求めて、三方よしの取り組み(1) | 次の記事 おいしい牛肉を求めて、三方よしの取り組み(3) |