2021年12月23日 今年ももうすぐ終わりですね。今年最後のコラムとなりました(^o^) 今回は脂肪壊死の牛に対して、どのような治療を行ったかお話しようと思います。(前回のコラムで初診時に妊娠4か月と記載していましたが、正しくは妊娠3か月でした) 初診(5月)では、ビタミンEやパンカルを投与し、しばらくビオペア(ベタイン製剤)とリカバリーM(強肝剤)を与えてもらうことにしました。その後食欲は上がってきていたようですが、翌月、食欲なしとの稟告で再診。脂肪壊死塊が奥へ大きく成長し、直腸は圧迫され、赤黒い血便を排泄していました。この時は肝臓での脂肪代謝を改善する目的で、高張ブドウ糖液、強肝剤を点滴しました。同様の処置を食欲が出てくるまで1週間ほど続け、ミルカン(強肝剤:ビタミンB群・メチオニン含有)も継続して与えてもらいました。本当は、今まで脂肪壊死を治療してきた際に効果的であったリーシュア(バイパスコリン製剤)を使いたいところでしたが、コストが高く、保険も適用でないためこの時は断念しました。 だんだんと食欲が改善し、BCSも回復、11月中ごろには先月とは違って健康的な見た目まで回復しました。便も太く、ルーメンマットもしっかり形成されていました。 12月に入り、予定日付近で無事分娩しました。脂肪壊死がなくなっていればいいなと思いながら直検しましたが、まだ固いものが11時~2時方向にありました。幸い、卵巣をつかむ範囲には脂肪壊死塊がなかったので、今後はこの子でOPUをおこない、受精卵を作る計画です。 長い闘いになりましたが、無事に分娩できて本当に良かったです。いつの日か、脂肪壊死に悩む必要がなくなるといいな…と思います。 |