2021年12月14日 世界中の様々な物資のサプライチェーンに異常がおきているように思います。「国産」という言葉の重要性をひしひしと感じる今日この頃です。 α-リノレン酸を多く含む「バイパス油脂(サンニード)」をどのような肉牛に対して給与すればよいのか?また、どのくらいの量を給与すればよいのか? これは非常に重要なポイントになります。今、多くの牧場でさまざまな試験が行われ、いろいろな所で良い結果が出ています。肥育、繁殖、育成などなど。 ちなみにヒト様の場合ですと、厚生労働省がω3脂肪酸の食事摂取基準を出しています。年齢と性別に分けて目安となる量を出しています。男性と女性では量に違いがあり、女性は男性と比べて少し少なくなっています。例えば18歳~29歳では男性2.0g/日、女性では1.6g/日。年齢と性別によって違いますが、成人であれば大体1.6~2.4gの間に入っています。 意外と少ない感じがしますね~~~。しかし、一般的にはヒト様の場合、毎日スプーン一杯の摂取でよい結果が得られるといわれています。健康番組などでも「アマニ油を毎日スプーン一杯飲みましょう」などと紹介されています。ちなみに小生もω3脂肪酸は意識して毎日摂取しています。最近やたら健康に意識が向いている中年オヤジです。お酒の量も少し減ってきました。いい傾向です。もう馬鹿なことはしません!!!! では、牛さんではどのくらいの給与量が良いのか? 基本的に小生は獣医師なので「必須脂肪酸の補給による健康維持」という観点が重要であると考え、育成牛では粗飼料と配合飼料の合計の1%程度をまずは目安に給餌することがよいのではないかと考えています。子牛の育成期だと大体30~70g/日、平均して50g/日程度になると考えています。小生は基本的に大量に給与するものではないと考えています。あくまでも牛さんが食事から摂取することができない必須脂肪酸の補給がメインです。もちろん給与量を増やせば増体やDGが増えますが、育成期に余計な脂がついてしまう危険性があります。基本は脂肪酸カルシウムなので、過剰給与には注意が必要と考えています。腹腔内脂肪はこの時期ご法度ですからね。肥育、繁殖に関しては今後のさらなる研究結果に期待です。 往診先の一軒の繁殖農場ではサンニードを給与するようになってから、子牛の状態が驚くほど改善しました。疾病の発生率から子牛のDGまで大きく改善しています。家畜市場でも少しずつ高い評価を受ける子牛ができるようになってきました。あくまでも1例ですが、小生はω3脂肪酸の子牛育成に対する非常に良い効果を感じています。 前の記事 第685話:油脂と疾病予防 その8 | 次の記事 第687話:油脂と疾病予防 その10 |