2021年11月30日 仕事の最中に腰を曲げた状態で長時間頑張っていたら、思いっきり腰を痛めてしまいました。情けない・・・。しかし、ヘコヘコ歩いていたら牧場スタッフの方に「先生!!これ使ってよ!!」と大量の湿布薬をいただきました。本当にありがたくてうれしかったです。 パーム油、大豆油にはパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などさまざまな脂肪酸が含まれているので、基本的に「油脂」という形で給与することになります。この「油脂」は、グリセリンに脂肪酸が3つ結合したものになります。この「油脂」が第一胃内で分解され、脂肪酸は遊離脂肪酸に加水分解され、グリセリンはプロピオン酸となりエネルギー源として利用されます。 おっと、話が何だかややこしくなってきました。とにかく牛さんに脂肪酸を与える場合は「油脂」という形で給与すると覚えておいてください。 しかし、この「油脂」はギトギトのアブラです。このギトギトのアブラを牛さんに給与すると、第一胃の微生物活性が落ち、繊維消化率や乾物摂取量の低下がおきることがわかっています。ヒト様でもギトギトのアブラばかりは食べられませんからね。 そこで考えだされたのが「バイパス油脂」になります。この「バイパス油脂」は「油脂」と「カルシウム」が結合してできあがります。「脂肪酸カルシウム」ともいいます。ギトギトのアブラではなく、石鹸のような状態になります。この石鹸のような「バイパス油脂」は第一胃に悪影響を与えずに牛さんに脂肪酸を給与できる優れものです。pHが6~7程度の第一胃ではなく、胃酸の影響によりpHが低い第四胃で石鹸のような「バイパス油脂」は分解されます。 この「バイパス油脂」の製品を調べてみると、ほとんどのものがパームや大豆由来の脂肪酸になっています。一番小生が気にしている必須脂肪酸であるα-リノレン酸がパームや大豆由来の「バイパス油脂」にはほとんど含まれていないのです。 しかし、ありました。太陽油脂株式会社さんから出ている「サンニード(キーオメガ)」という商品には非常に珍しい「あまに油」由来のα-リノレン酸が非常に多く含まれています。小生はうまく利用すれば牛さんの健康に対してよい影響を与えることができると考えています。 次回はα-リノレン酸を含む「バイパス油脂」についてさらに深堀してみますね! 前の記事 第684話:油脂と疾病予防 その7 | 次の記事 第686話:油脂と疾病予防 その9 |