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蓮沼浩のコラム
第684話:油脂と疾病予防 その7

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2021年11月16日

 なんだか最近目まぐるしく毎日が過ぎていきます。予定の確認や、やるべき事をいかに速やかに終わらせていくか。時間の重要性が増しています。

 ω3脂肪酸の作用というものはいかなるものか?

ざっとあげてみますと・・・

 ◎ 循環器疾患の予防
 ◎ 脳機能・学習能の向上
 ◎ アレルギー症状の緩和
 ◎ 発がんの予防
 ◎ 認知機能低下・老化の抑制

などなど他にも様々なものがあります。

 ヒト様の世界では健康維持・疾病予防を目的として多くのサプリメントが発売されており、ω3脂肪酸はかなり有名な脂肪酸になっています。

 で、小生が一番注目しているこのω3脂肪酸の作用はといいますと、ズバリ「抗炎症作用」になります。実はこの「抗炎症作用」というものが、さまざまな作用の基本になっているように小生は思っています。

 ω3脂肪酸の代謝と抗炎症作用に関する研究
 ω3脂肪酸の代謝による新たな免疫・アレルギー・炎症の制御機構

などω3脂肪酸が炎症を抑制するという報告がこのほかにも多くなされています。

 基本的な抗炎症作用はω3脂肪酸から生成されるレゾルビン、プロテクチンというものが大きな役割を担っていると最近の研究でいわれています。これらの代謝産物には強力な抗炎症活性が認められています。好中球の浸潤抑制、炎症組織からの好中球クリアランスの促進、活性酸素抑制、炎症性サイトカインの抑制、消化管粘膜組織保護作用などなど。ほかにも様々な作用がω3脂肪酸にはありますが、これ以上書くと訳がわからなくなってくるので止めます。

 小生たち獣医師は、毎日「病気の牛さんの炎症」と戦っているといってもある意味過言ではありません。肺炎、腸炎、肝炎、関節炎などなど。これらの疾病の炎症を抑える可能性のあるω3脂肪酸に小生は非常に注目しています。牛さんの世界では研究があまり進んでいませんが、最近は様々な知見も得られてきています。次回からはω3脂肪酸を用いた脂肪酸カルシウムの視点からいろいろ紹介していきたいと思います。

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