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前村達矢のコラム
ルーメンドリンカー②

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2021年12月10日

気が付いたら気温がグッと下がり一段と冬らしくなってきましたね。
関東シェパードのある栃木県の那須塩原市は、北海道よりも寒いという人もいるくらい冬場は厳しい寒さのようです。普段往診に行く農家さんも、子牛に専用のジャケットを着させてあげたり、投光器を設置するなどして対策を取っていました。子牛の生死を左右する「保温」「水分管理」「電解質管理」の一つである”保温”、これからの季節はより注意していきましょう!

さて、今回は引き続きルーメンドリンカーの子牛についてお話していきたいと思います。前回のコラムでは、初診時の失敗があったというお話をしました。わざわざ引っ張る話でもないのですが反省も兼ねて強調すると“診断が甘かった”のです。

前回もお話しましたが、その子牛は元気はありましたが症状からルーメンドリンカーが疑われました。そこで点滴や断乳し電解質を飲ませてあげること、そして血液検査も行うことで、現症からの回復を狙いつつ改めて状態確認および診断をしたいと考えました。

しかし後日、
それまでは無かった脱水がかなり進んでしまっていました。。。

そこで、事前に先輩獣医師から教えて貰った方法(確定診断やルーメン内のミルクの影響によるこれ以上の脱水を防ぐ目的で、口からホースをいれる)を行うと、やはり本来第4胃に流れつき第一胃にたまるはずのないミルクが400mlほど出てきました。

確定診断をつけつつ症状も緩和できる優れた方法ですが、初診の段階でこの処置をしていれば後日の脱水は防ぐことができたはずです。幸い、子牛の体力があったことでその後は問題ありませんでしたが、診断技術ひとつで状況が大きく変わってしまうことを学んだ症例となりました。

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