2012年3月9日 肥育牛では生まれてからお肉になるまで、あらゆるステージで下痢に遭遇します。これまでに紹介してきたように、全てが同じ原因でおこるというものではなく、成長や肥育のステージによって起こり易い下痢の種類と言うものがあり、原因は様々です。感染症によるもの、食餌性のもの、代謝病によるもの、などなど。 ですが、下痢症として病気を見た時、ほぼすべてに共通しているものがあると私は思います。それは、“体に必要な栄養素や電解質が外に流れ出している“ということです。餌を食べて大きくなることが仕事の肥育牛にとって、下痢は栄養素やエネルギーのロスになります。子牛であれば全身の免疫にも影響し、他の感染症にもかかり易くなります。そういった点から見ても、下痢は出来るだけ早期に治療し、さらに言えば予防をしたいものです。もちろん、ちょっと便が緩くなっただけで神経質になる必要はありません。下痢による発育ロスと、治療・予防にかかる費用を天秤にかけたうえで、ロスが大きい場合は積極的に治療や予防を行うべきです。 発育や肥育の過程で牛さんのお腹の中で起きている変化(成長)というのが、下痢の発症とも関わっています。今回の一連のコラムが、その辺りを理解するのに少しでも参考になれば幸いです。 前の記事 下痢を考える(まとめ1) | 次の記事 牛の解剖92:泌尿器 |