2021年11月17日 前回まで、PCRが微量のDNAから特定の領域を複製、増幅させる技術であることをお話しました。今回は増幅させたDNAをどのように測定しているかについてお話します。 ただ可視化するまでにはもうひと作業あり、電気泳動した後のゲルを色素により染色する必要があります。ここで用いられる色素は、DNAの二重らせん構造に結合して光るという性質を持ちます。これによりアガロースゲル上の2本鎖DNAのある場所が光るようになるため、PCRによって目的のサイズのDNA断片が増幅できているかを確認することができます。
このように、電気泳動を行った結果を見るまで目的のDNAが増幅できているかどうか分からないのがPCRのドキドキポイントです。しかし、PCRの反応中にDNAが増幅できているかどうかを可視化できる方法が実はあります。それがリアルタイムPCRです。リアルタイムPCRは、PCR反応中の反応液をサイクルごとに蛍光カメラで撮影し、その発光強度の変化をグラフで示してくれます。新型コロナウイルスのPCR検査では主にこのリアルタイムPCRが用いられているようです。 以上、PCR検査について紹介してきました。獣医師は牛に直接ふれて治療するだけでなく、このような実験的な作業も行うことがあります。 前の記事 PCR検査② | 次の記事 子宮脱の母牛でOPU① |