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松本大策のコラム
糞便移植(ウンコ イン ザ チョクチョウw)

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2021年11月15日

 ドイツでは、以前から人間の病気の治療で、腸洗浄といって肛門から管を入れて腸を洗うやり方や、健康な人の糞便を病気の人に移植する、という治療法が行われていました。
 これによって、慢性の下痢や躁鬱病などの病気まで治療するそうです。けっこう効果が高いとのことで、以前僕もやってみないかと誘われたのですが、さすがに勇気が出ませんでした。

 ところで、最近牛さんでもこの「糞便移植」が慢性の下痢に大変効果があるという発表がなされています。やり方は簡単で、健康牛(うんちが正常なだけでなく、白血病とかBVD-MDとかの病気も持っていないことを確認しましょう)の糞便を100g採取して、生理食塩水200mlで少しずつ溶かします。これを2重のガーゼなどで濾して、さいごはしっかり絞りきって、ウンコ汁(汚い感じですね糞便調整液、の方がかっこいいかな?)を作ります。

 これを経鼻カテーテルとか、ホームセンターで売っている8mm程度のチューブで慢性下痢の牛さんの肛門から腸内に注入するだけです。気をつけないといけないのは、管を入れるとき、受け側の牛さんの第2腰椎よりも奥には突っ込まないこと。腸管を傷つける恐れがあるからここは守りましょうね。

 こんな簡単な方法で、慢性下痢に大変効果があるそうです。僕も、まだやったことはないけど、今度慢性下痢に出会ったらやってみようと思います。

 このやり方を詳しく紹介し、YOUTUBEで実際のやり方もアップしている先生がいらっしゃるので、URLをのせておきますね。
 https://www.youtube.com/watch?v=S4kFMcBMDAs

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