(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤田真千子のコラム
No.8 渥美牛群管理サービスさんでの研修②

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2021年11月4日

今回はOPUの冬の寒さ対策と検卵についてです。

<冬の寒さ対策について>
まずは卵子の取り扱い上の注意点についてお話しします。
大切なのは温度管理、無風、紫外線を当てないことです。温度管理は非常に重要で、冬は寒さ対策が生産率をキープするための重要なポイントとなります。また紫外線によるダメージ、風による一瞬の冷却でも生産率が下がってしまいます。卵子を常に体内と同じ環境に置く意識が大切ですね。
渥美牛群管理サービスさんでOPUを行う際は、写真のようにテントを張り、中をストーブで温め20℃以上に維持されていました。検卵場所に吸引した卵を運ぶ際も紫外線に気をつけ、チューブウォーマーで暖めながら運びます。検卵は車内で暖房をつけ20℃以上に維持、顕微鏡で検卵する際はヒーターの入ったプレートの上で暖めながら検卵しておられました。

<洗浄・検卵のポイント>
10分以内を目標、遅くとも15分以内に終える
そのために…
①動線の確保
無駄な動きをなくすことで、スムーズにミスなく作業できます。配置はいつも一定に、きちんと整えてから作業を始めます。
写真はシェパードのものです。渥美牛群管理サービスさんとほぼ同じ器具を揃えています。

②少ない洗浄液で効率よく洗えるようにする
100μmフィルターと、50mlシリンジ・21G 5/8の注射針で行っていました。細い針で行うことで細かく洗浄でき、短い針の方が扱いやすいとのことでした。私は実習に行くまで18G 1 1/2で洗浄を行っていましたが、なかなか洗いきれず洗浄液を100ml程度使用していました。21G 5/8で行うと50ml未満の液量で十分洗浄できました。

③常に自分が見やすい状態で検卵する
検卵中に血餅などをほぐしていくと、濁ってくることがあります。ここで無理するのではなく、もう一度洗浄し見やすい状態で検卵することで、結果的に短時間で回収できます。

+α 低倍率で卵子を見つけられるようにする
私はまだ卵子を見逃してしまうので、高倍率で視野が狭い状態で検卵しています。渥美牛群管理サービスさんでは96角シャーレの1マス分を1視野で観察できる倍率で検卵しておられました。その倍率で見てみると、私の場合は見逃しが多発してしまったので徐々に練習したいと思います。

3日間の研修は非常に有意義なものとなりました。丁寧で効率の良いOPU・検卵をおこない、できる限り卵子へのダメージを少なくしたいと思います。またこれからの寒さ対策は課題です。シェパードでも対策は考えていますが、農家さんにも協力をお願いすることになると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
今週の動画
「Lateral Episiotomy in Bovine Delivery.  初産牛の陰部切開」

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