(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
前村達矢のコラム
乳房炎について考える⑦

コラム一覧に戻る

2021年10月22日

 最近、運転中の腰の凝りが気になるようになってきました。なにか良いアイテムや対処法を知っている方いましたら教えて頂けると嬉しいです(><)  
 さて、今回は乳房炎の敵である細菌側の動きに注目していきたいと思います。具体的には、乳頭管から侵入した細菌がどのようにして乳房の傷害や生産性の低下を引き起こすのかについてのお話しです。(炎症反応についてはこれまでも多くのコラムで話があるので今回はざっくりです)

 まず侵入した細菌やその毒素により、乳房内の血管透過性の上昇が起こり血管内に存在していた白血球が乳管側に呼び寄せられます。これらの物質が乳汁内で増加したとき、乳を作り出す働きを持つ乳腺上皮細胞はその障害性により破壊されてしまいます。そして、壊れた組織の破片や白血球の死骸が、本来は乳汁を流出させる働きを持つ乳管を詰まらせ乳腺上皮細胞の機能を停止させてしまいます。この状態になってしまうと、いずれは乳腺組織全体が瘢痕組織に置き換わってしまい、乳の生産などとてもできなくなってしまうのです。
 乳房炎にかかってしまった牛の乳房を触ったときに固くガチガチに感じるのはこのような理由なのでしょう。

 次回は乳房炎を引き起こす代表的な細菌とその特徴について書いていきたいと思います。

|