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藤田真千子のコラム
No.6 ヘパリンロック

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2021年10月21日

こんにちは。だいぶ朝夕寒くなり、寒さ対策が必要な時期になりました。OPUでも、採った卵子が冷えないよう温度管理に気を付けなければなりません。私は現在OPU練習中です。来月から本格的に本番が始まるので、集中して練習したいと思います。

今回はヘパリンロックのお話です。

ヘパリンロックは、血液凝固させずカテーテルを保存する方法です。血管に挿入したカテーテルをそのまま放置すると血液が逆流して凝固し、カテーテルは閉塞してしまいます。ヘパリンロックでは、この閉塞を予防するために、ヘパリンをカテーテル内に満たしておきます。再度点滴をすることが分かっている場合に使用されます。ヒトの医療ではよく用いられており、入院したことのある方は、経験がある方もいらっしゃるかと思います。

牛では抜けてしまうのでは?という不安があると思いますが、交換の目安と言われる3日後まで使うことができました。

<ヘパリンロック設置方法>
準備するもの:留置針(14Gの長いもの)、サフィード延長チューブ、ヘパリンNa、瞬間接着剤、テープ(接着包帯など)

①留置針を静脈に留置します。写真は違いますが、逆打ちをお勧めします。
②通常通り点滴をおこないます。
③点滴が終わったら、留置針は残しサフィード延長チューブを接続します。
④サフィード延長チューブ・留置針内にヘパリンNaを満たします。
⑤血液が逆流しないよう注意しながら、サフィード延長チューブに蓋をします(もともと付いていたもの)。
⑥写真のようにカテーテルを接着剤で固定します。
⑦首全体をテープでぐるぐると巻きます。

<ヘパリンロック解除方法>
接続部はアル綿で消毒します。シリンジを接続、少し引いて血液が戻ってくることを確認します。スムーズに戻ってくれば開通に問題はないので、輸液を開始します。しかし、抵抗感がある場合には閉塞や狭窄の可能性があるため投与を中止し、抜去後再確保を実施します。

<注意点>
静脈炎発生のリスクもあるので、設置から2~3日後まで使用し交換します。ヒトでは点滴再開が24h以内の場合に用いられているので、それ以上になるときはヘパリンロックはおこなわない方が無難かと思います。
また、厳寒期にはカテーテル内が凍結することがありますのでご注意ください。

今回の対象牛は、餌場はスタンチョンでしたが外れることなく使用ができました。
毎日点滴が必要で血管の損傷が気になるときや、神経質で暴れるような個体への使用は良いかもしれません。
 
 
今週の動画「牛の皮膚病 Skin disease」

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