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蓮沼浩のコラム
第682話:油脂と疾病予防 その5

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2021年10月18日

 小生はいつも自分には「限定合理的判断」しかできないと肝に銘じています。本当に物事を判断することはとても難しいと最近思います。

 必須脂肪酸であり、なおかつ牛さんの餌にほとんど含まれていないα-リノレン酸とはいかなるものか?

 実はこのα-リノレン酸は意外と耳にする機会の多いEPAやDHAに関係しています。よく健康補助食品として紹介されるEPAやDHAは青魚に多く含まれているといわれています。さすがに、牛さんは「青魚」をたべるわけにはいきません。しかし、αーリノレン酸の代謝経路をしらべると以下のようになっています。

【 α-リノレン酸代謝経路 】

 α-リノレン酸 → エイコサペンタエン酸(EPA)→ ドコサペンタエン酸 → ドコサヘキサエン酸(DHA)

 なんと、α-リノレン酸は体内で代謝されてEPAやDHAに変化するのです。「青魚」を食べなくても牛さんはEPAやDHAを体内に取り込むことができる。これはすごいことです。

 ここで小生は目を閉じて昔のことを思い出します。そういえば一昔前に、ある肥育農家さんは自家配合飼料に「魚粉」を混ぜていたなあ~~。とにかくこの「魚粉」は非常に牛にとって良く、肉質や増体などがものすごくよくなるとおっしゃっていたなあ~~。

 今考えると、もしかしたらこの「魚粉」に含まれるEPAやDHAが牛さんの健康状態や肉質などに大きく影響を与えていたのではないか???などと思ったりしますが、残念ながら今は検証することはできません。

 ただ、昔結構な数の肥育農家さんが「魚粉はわっぜ、よかど!!!」と言っていたのを思い出しました。嗚呼、懐かしいなあ~~~。

 しか~~~し!!!! 今はBSEの発生から法律が改正されており、動物性たんぱく質である「魚粉」を牛さんの餌にまぜることはできませんので、この点は十分注意してください!!

 次回は小生が注目している牛さんに対するα-リノレン酸の効果について紹介してみようと思います!

 ちょっと面倒だけど・・・

 エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の名前は憶えておいてくださいね~~~

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