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笹崎直哉のコラム
生後1週間以内を目安にチェックしたいこと その1

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2021年10月11日

 こんにちは。久しぶりの投稿です。カレンダーをみれば秋なのに、気温はまだまだ夏ですね(日中は25℃を超えることもあります)。特に日差しの強さにはかないません。早く秋らしくなってほしいなぁ。

 さて今回は生後1週間程度の牛さんでチェックしておきたいことを紹介します。皆さんはこの時期の牛さんに対しどんなことを意識しますか?。まず気になるのが「腸炎」ですよね。生後1週間前後であれば細 菌性、ウイルス性の下痢や自然哺育されている農家さんであれば、母乳性白痢などで悩む方が多いのではないでしょうか。確かに新生子の腸炎の発生予防や早期発見と早期治療に徹することはとても重要ですよね。
でも今回私が注目したいのは「肋骨」と「臍」です。

 私は子牛の往診依頼を受けた際に、必ずこの2点をルーチンワークのように触診しています。
 まず肋骨です。骨折の有無をしっかりと確認します。分娩時、母体の産道が狭かったり、過大子だったりすると難産になることが多いですよね。ここで胎子が産道を通過する際に胸部圧迫がおきて、たまに骨折してしまうケースがあります。これは胎子の肋骨は他の骨と比較して柔らかいためです。
 では肋骨の状態をどう確認しましょう。まず牛さんを起こしてあげてください。その後背骨から下方(臍の方向)に向かって両手でゆっくりとなでてあげてください。そうすると肋骨の走行がわかります。肋骨が左右対称に走っているか、変形(凹み)がないかどうかをチェックします。

 次に臍です。臍は腫れて太くシコリのようになっていないかどうかを確認します。腫れている場合はお産の後バイ菌がついたりして臍帯炎を起こしているケースが多いです。分娩後、臍に対して適切な処置をしていても、まれに臍帯炎になってしまうことがあるので意外と重要なチェックポイントになります。もし臍帯炎を見つけた場合はしっかりと「深部触診」をやってみてください。深部触診は手で胎子のお腹の中を探る触診方法です。これをすれば尿膜管遺残などの臍に関連した疾病の有無を確認することができます。しかし一方で深部触診は少しコツがいりますし、ミルクを飲み終わった後はお腹が張ってしまっているため操作が難しいです。でもとても重要な触診方法なので、やり方など気になる方は弊社YouTubeチャンネルで動画をアップしているので確認してみてください。チャレンジしてみましょう~。

つづく

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