(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
NO.174:診断と治療

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2012年3月7日

fushimi_174

 「どんな病気であっても診断をつけ、それに対する原因治療を行うこと。翌日効果判定を行い、また診断の判定をすること」

 シェパードの治療方針の大前提となる考え方です。内科医にとってとても大事な思考です。「自分で下した診断と、その原因治療」このセットは獣医師の成長に欠かせないもので、これがない場合・・・いわゆる診療が「散らかり」ます(笑)

 散らかると薬品のカクテルを使いまくった、それはそれは豪華な治療が展開されるのですが、診断という一本の筋がないので治療している本人が有効な治療を行えているのかどうなのか訳が分からなくなってきます・・・その一方でじゃんじゃん薬を投与するので、治療してもらっている側からすると「よくやってくれるいい先生だ」と、誤った高評価を受けます・・・こうなると獣医師は全く成長しません。

 というわけで診断をつけるという当たり前のことが、ひっじょ~~に大事なのですが、診療を積めば積むほどわからない病気は増えていきます。その都度病態生理を考え自分なりの原因を突き止め診断を下すのですが、この作業は獣医師である限り一生続きそうです。

 そういうわけで、この病気なんなの???というニュアンスのコラムはこれからも増えていくと思います。しかしそうして疑問をもちコラムを通して意見を発信していくと、掲示板で、メールで、農家さんの軒先で、出張先で多くの方から新しい答えをいただけることが多いです。なんど教えてもらったか、助けられたかわかりません。

 これからも、皆さんの知恵を貸していただけますよう、よろしくお願いいたします。そして、逆に「この話題をコラムで」などの意見がありましたら、可能なかぎり、知っている限りで頑張ります。
 そうしていつしか、教えていただいた病気、理解できるようになった現象の蓄積を「黒毛和牛の病気アトラス」として発行できればいいなと思っています。

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