(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
NO.173:白帯病

コラム一覧に戻る

2012年2月29日

fushimi_173

fushimi_173

 先日、肥育後期の牛が足をひきずるという稟告で診察しました。

 負重を嫌がる右前足。かる~くつま先(蹄先)を着くくらいで、とても痛そう・・・。うっすらと球節あたりまで腫れてるような印象。うまく説明できないのですが、蹄が痛いんだろうなと思う歩き方。このあたりの感覚は、説明できないと本当に理解していることになりません。「なんとなく」とか「直感的に」とか「だいたい」とか大嫌いなのですが・・・まだまだ未熟です(笑)

 すぐに柵に寄せて、挙肢させます。ぱっと見はちょっと内蹄の蹄球が腫れているな~というくらい。生理的な内外蹄の負重の差を考えれば、ありかな?という感じ。乳牛とかならすごい内外差がある牛もいますし。
 しかし、蹄球あたりを押すと、ものすごく痛がる。そして、内蹄の外壁を触ると…熱い。明らかに熱を持っています。こいつは持ってると判断し、鎌を立てますが・・・冬の肥育牛は、んま~~硬い!牛への負担、治療しやすさ、刃の保護を考えて蹄底をバーナーで一焼きしてから削蹄開始。
 内蹄の蹄球近くの白線付近を削ると・・・ブシュッとガスが抜け、褐色の膿汁が噴出。当たりました(嬉)。そして臭い。遊離角質を豪快に削って、ヒールレスのような状態にして洗って、被覆して終了。
 診断があたるとうれしい。

 統計を取ったわけではありませんが、肥育牛も繁殖牛も蹄病は少ないです(趾間フラン等は除く)。その中でも蹄底潰瘍は特に少なく、多くは白帯病です。一度繁殖牛で蹄底潰瘍を診ましたが、そこの牛床はコンクリートに敷料なしでした。スラリーと極端に硬い牛床の圧力が潰瘍の原因ですから、肥育牛には少ないはずです。

 跛行の原因が不明な肥育牛がいたときには・・・蹄付近の腫れはないか、蹄壁に熱感はないか、蹄底の圧痛はないか、ぜひ確認してみてください。

|