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松本大策のコラム
「雌でも尿石症? その1」

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2007年6月25日


 みなさん尿石症といえば、去勢牛の病気みたいに思ってらっしゃることが多いのではないでしょうか?
確かに去勢牛の方が、1:去勢してあるのでタンパク同化ホルモンのレベルが崩れてアンモニア(吸収しても蓄積されなかったタンパク質の老廃物)の排泄が増えやすい、2:尿道が長く雌より細いので石が引っかかりやすい、などの理由で尿石症が発生しやすいのは事実です。でも、尿石症が発生する条件(タンパク質の加給や炭酸カルシウムの加給、飲水のphが高い、など)がそろえば、雌でも尿石症になる場合があります。そして、去勢牛と違うのは、なかなか発見されず、オペも困難であるということです。
 雌の尿石の場合、去勢牛と違って尿道に石が詰まることはありません。ではどこに石があるのでしょうか?実は、雌牛の尿石症のケースでは、多くの場合腎臓(腎盤)の中に石が出来ることが多いのです。
 腎臓の中に大きな結石が出来ると、腎臓の実質組織を圧迫したり細菌の2次感染を引き起こしたりして腎機能を障害するため、尿が作られにくくなるのです。ですから、去勢牛のようにお腹を蹴ったりする症状(尿道に石が詰まった時の腹痛の症状)ではなく、1:やせてきた、2:背中を曲げているのにオシッコが少ない、3:背中を曲げていきみっぱなし、などの症状が見られることが多いのです。
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