2021年9月27日 みなさん、前肢帯筋異常症ってご存じですか?FMAという黒毛和種の遺伝病もあるのですが、こちらは2本1組の遺伝子(染色体)の両方に欠損がある場合に発症すると言われています。FMAではないのですが、F1子牛では2本一組の片方はホルスタインからなので、もし異常があるとしても遺伝子の片側だけですから「保因牛」といってFMAの発症はしません。ですが、同じような異常が起こることがあります。 症状としては、前脚の肩のところが写真のように離れるというか力が入らず開いてしまうため、うまく立つことができません。 この子は、F1で、生まれも大変大きく、みんな喜んでいたのですが、両肩が開いて立つことができませんでした。そこで最初は、肩が開かないようにテーピングで固定しようと思ったのですが、牛さんの毛は滑りやすく、下処理でボンドを塗ってテーピングしたのですが、肩の開く力が強すぎてテーピングが切れてしまいました。 そこで登場したのが、軽量プラスチックギプス。子牛に麻酔をかけて暴れないようにしたあと、肩を正常な位置に固定してギプスで固定しました。ギプスを装着した姿から、牧場のみんなから「ガンダム」と呼ばれるようになりました(女の子なのに😢)。 処置が終わって覚醒させると、肩が開かないので立つことができました。ギプスは1ヶ月ほどで一度外そうと思っていたのですが、すり切れて3週間足らずで勝手に外れてしまいました。心配していたのですが、その後も肩の開きが生じることはなく立つことができていました。 ただこの子は、もう一つ「ナックリング」という足首の問題を抱えていましたので「切腱術」という処置も施しましたが、こちらは加地先生が書くということで、そちらに譲ります。 がんばって立つんだ!ガンダム! 前の記事 肺炎は完全に叩こう | 次の記事 リーキーガット? |