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前村達矢のコラム
乳房炎について考える①

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2021年9月10日

 こんにちは。現在私は2週間の酪農研修の真っ只中であり、現場での仕事を学ばさせて頂いています。やはり、普段診療しているだけでは分からない経営の全体像や農家さんの困っていることを知れるというのはとても為になると実感しております。残り5日間ですが頑張ります^ ^
 
 今回のコラムからしばらく、酪農家さんは避けて通ることの出来ない病気である乳房炎について書いていきたいと思います。

 乳房炎の問題点は多岐に渡り、世界中を通して最も酪農業にコストのかかる疾病であると言われています。

 まずはその発生数の多さについてですが、世界各国の牛群を対象に行われた調査によると、全牛の約1/4が発生していたそうです。
 これは乳汁や乳房の見た目では判断できない潜在性乳房炎を含めての数字ですが、普段認識している以上に発生していると考えるとやはり恐ろしいですね。

 つぎに経済的損失についてですが、1頭あたり年間2〜3万円と言われています。
 その内訳は乳生産量の減少や乳廃棄、診断及び治療代、淘汰分などと考えられています。

 どちらもすぐに解決できるような問題ではありませんが、病気を正しく理解し少しでも損失を減らす手助けが出来ればと思います。

 次回からは乳房炎の発症原理についてまとめていきたいと思います。

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