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蓮沼浩のコラム
第680話:油脂と疾病予防 その3

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2021年9月7日

 鹿児島は結構朝晩が涼しくなってきました。しかし、日中は結構暑く、寒暖差が大きくなってきています。牛さんの体調の急変には要注意ですね。

 前回のコラムでは脂肪酸は色々な理由から結構わかりにくいことを紹介しました。しかし、だからといって放置するわけにはいきません。なぜなら、この脂肪というものは生物にとって非常に重要なものになるからです。3大栄養素のタンパク質、炭水化物とならび大任を任されているのです。
 脂肪酸には多くの種類があり、なおかつ分類方法も多岐にわたります。何かわかりやすい良い方法はないものかと思案していると、ひとつ閃く分類方法が思い浮かびました。

 それは・・・・

 脂肪酸と必須脂肪酸の二つに分類することです。飽和も不飽和も中鎖も長鎖も全て忘れてください。

 実は多くの脂肪酸は体内で合成することができるのです。しかし、必須脂肪酸は哺乳類の体内に必須脂肪酸に変換するための酵素が存在しないことから、食事により摂取するしか方法がないのです。必須アミノ酸と同じです。ここは非常に重要なポイントになります。

 ではこの必須脂肪酸には何があるのか??

 「リノール酸」と「α-リノレン酸」の二つをまずは覚えておいてください。「リノ」がかぶっているので覚えやすいかもしれません(さらにこれらの脂肪酸は変化するのですが、それらは次回紹介いたしますね)。

 「リノール酸」と「α-リノレン酸」は必須脂肪酸であり、体内で合成することができず、食物から摂取する必要があります。逆を言えば、それ以外の脂肪酸は体内で合成できます。肉牛業界でメジャーな「オレイン酸」は必須脂肪酸ではないので、実は体内で合成することができるのです!

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