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蓮沼浩のコラム
第679話:油脂と疾病予防 その2

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2021年8月26日

 あっという間に1週間が過ぎてしまいます。あまりの速さに愕然とし、途方にくれてしまいます。時間というものは本当に不思議です。
 
 小生は牛さんの栄養状態と疾病の発生に、大きな相関関係があると思っています。栄養状態が良ければ、免疫力も高くなり病気にかかりにくかったり、治りが速くなったりすると考えています。以前はそのような考え方からコラムの406話~419話にかけて「エネルギーと疾病」の関係について紹介いたしました。
 この時は中鎖脂肪酸に関して紹介したのですが、今回からはちょっと方向性を変えて「多価不飽和脂肪酸」を紹介したいと思います。

 ただその前に・・・
 この脂肪酸という言葉、意外と取っ付きにくいんですよね。色々な脂肪酸が出てくるので、こんがらがってしまうのです。一番の問題は「分子の長さ」による違いと「飽和しているかしていないか」の違いがごっちゃになってしまうことになります。

 例えば・・・オレイン酸は「不飽和脂肪酸」でありなおかつ「長鎖脂肪酸」でもある。
 例えば・・・パルチミン酸は「飽和脂肪酸」でありなおかつ「長鎖脂肪酸」でもある。

 このように分類方法が複数あることで訳がわからなくなってきます。

 さらには、脂肪酸にはたくさんの種類があります。オレイン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、αリノレン酸、リノール酸など、それはそれはたくさんの種類があります。この点も脂肪酸をわかりにくくしている大きなポイントだと思います。トランス脂肪酸などというものも現在結構問題になってもいます。

 さらには、油脂というものはこれらの脂肪酸が単体で構成されているのではなく複数が組み合わさって出来ていることも混乱に拍車をかけます。

 例えば・・・パーム油はパルチミン酸約50%、オレイン酸約45%、リノール酸約10%、ステアリン酸約5%、ミリスチン酸約1%

 パーム油には飽和脂肪酸もあるし、不飽和脂肪酸もある。なおかつ長鎖脂肪酸が含まれる。パーム油が常温で固形なのは、飽和脂肪酸のパルチミン酸の含量が一番多いからである、などと話が膨らんでくることで、このあたりから多くの人は・・・

 頭の中がパッパラパーになります。やたらカタカナ出てくるし、パーセント訳わからんし、組み合わせなんて知らんがな、となります。ここでさらに多価不飽和脂肪酸などという言葉がでてくると、これ以上コラムを読むのをやめようとなります。

 というように脂肪酸は訳わからなくなりやすいので、次回から超簡単に紹介しますね。
 
今週の動画「Check before mixing. ミキシングについて」

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