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戸田克樹のコラム
第346話「熱血指導」

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2021年8月11日

加地獣医師が阿久根での研修を終えて栃木に戻っていきました。そして現在、藤田獣医師がこちらで研修に励んでおります。今回の写真はそんな加地獣医師が、以前蓮沼獣医師に分娩介助の指導をされていたときのシーンを激写したものです。

蓮沼獣医師は絵がうまいので、よく図を書いて説明してくれます。そして鉄は熱いうちに打て!という考えなので気になったらその時にいろいろと教えてくれます。二人の話を聞いてみると、どうやら前日の分娩介助について話し合っているようでした。

分娩介助は慣れないうちは頭が真っ白になります。無事に生まれたときでも、反省点やうまくいった点などを確認する必要があるのですが、本人が一生懸命にやった結果、どうやって分娩させたか記憶にあまり残っていない、なんというケースもあるかもしれません。夜間の分娩だとなおさらです。今回は「頭がとれないからおしりからきているかも」という稟告だったようです。子宮頚管の拡張が弱く、実際は子牛の頭部が子宮頚管より奥の方にあっただけだったので、通常の胎位だったそうです。加地獣医の胎位確認の手順や介助の流れなど、昨晩の記憶を呼び起こしながら確認しあっていました。

この作業は実は非常に大切です。思い出して自分の作業内容を見直し、よかったところ、悪かったところを確認する。さらにその中で先輩獣医師からアドバイスや経験談を聞かせてもらい次の分娩に活かせる知識を身に着けておくことができるからです。

ホワイトボードを前にした2人の真剣な様子を見て、私も眠気眼をたたき起こして「頑張らねば!」と思った次第でありました。

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