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戸田克樹のコラム
第345話「くく…くいこんどる!!!!!」

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2021年8月4日

去勢をしてくれ、と言われたので意気揚々と去勢をしに農場にやってきました。そんな私の目に飛び込んできたのはこちら!

え…くいこんどる。

頭絡が尋常ではないレベルで鼻梁に食い込んでいたのです。どこまでいってしまっているのだろう、と思わず確認してしまうレベルでした。牛はそんな傷をおっているそぶりがないくらい元気いっぱいで餌も完食。農家さんが一切気にしないで今日まで至ることとなってしまいました。相当な日数が経過しているようだったので、組織が癒合するかかなり不安だったのですが、麻酔をかけて縫合を行いました。少し腐敗臭もしたので、患部周囲の剃毛に加え、洗浄もしつこく行いました。強く縫合すると組織が裂けてしまったので、優しく少しずつ結紮。猛暑日の中、汗をたらしながらゆっくりと縫合処置を行っていきました。そして何とか無事に縫合終了。

「抜糸したら全然くっついてなかったりして…」
「抜糸しても、もう1回くらい縫わないと完全にはくっつかないだろうな…」

などというネガティブな思考を巡らせながら抜糸日を迎えました(もちろん、その間にペニシリンの投与と検温などの診察も行っています)。

そして抜糸後がこちら

え…くっついとる。

牛の治癒力にはいつも驚かされます。ただくっついただけでなく、新しい組織が盛り上がって傷そのものがすでに消えかけている箇所もあります。脅威の回復力です。もちろん再縫合をすることもなく、この日をもってこの牛の処置は終了としました。おどろき~~~!!

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