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笹崎直哉のコラム
過肥について考える その6

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2021年8月3日

 なんで茶色なんだろう、、、。あ、牛さんの糞の色のことではありませんよ。薬品瓶の色のことです。

 

 実は昔農家さんから、このことについて聞かれたことがあります。茶色の瓶の代表例としてビタミンAD3E剤や強肝剤が挙がりますが、その他にオロナミンCなど私達が飲む栄養ドリンクの瓶も茶色であるケースが多いように思います。なぜでしょうか。その理由のひとつに「ビタミンは光によって壊れやすい」という特徴があるからです。ちなみに茶色以外の無色透明な瓶やアンプルに関しても直射日光を避けるようにと大半の添付文書には記載されています。真夏になり直射日光がなお一層強くなりますが、今後も薬品の管理には十分注意していきたいものです。

 さて前回のコラムでは繁殖牛のダイエットについて少しお話しました。過肥牛に対し急激に飼料を減量させて、体型を変化させることはお勧めできないとお伝えしました(もちろん個体差があるので、急にダイエットを始めても繁殖成績に何ら影響が出ない牛さんもいるとは思いますが)。初めにダイエットのメカニズムについて少し触れていきますね。エサを減らすことで、得られる栄養分も必然的に減ってくるわけですから、体は若干の飢餓状態にあると察知します(飢餓はちょっと大袈裟ですね)。そうすると脂肪細胞や筋肉組織からエネルギーを放出させるようにします。脂肪組織から遊離脂肪酸、中性脂肪(トリグリセリド)などが血中に動員され、筋肉組織からはアミノ酸が血中に放出されます。
 これが一時的であれば問題ないのですが、極端で急激なダイエットを始め、且つ長期間それが続くとどうなるでしょう。まず筋肉の減少、そして血中においては脂質の増加が懸念されます。筋肉が減ると代謝の低下を招き、血中には脂質が溢れてくるわけですから、結果として肝臓に脂肪がたまるようになります。肝臓に脂肪、、、はい。いわゆる脂肪肝になってしまいます。

つづく

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