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蓮沼浩のコラム
第675話:予後判定の難しさ

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2021年7月29日

 この時期は一度テレビの前に座ると根っこが生えてしまい、まったく動けません。気が付くと、驚くほど時間がたっていたり、知らない間に目頭が熱くなっていたりしているので自分でもビックリしてしまいます。

 小生たち獣医師は毎日多くの牛さんを治療しています。子牛だったり、繁殖牛だったり、肥育牛だったり、種雄牛だったり、それこそ様々な種類の牛さんを治療しています。そして聴診したり、検温したり、血液検査をしたり、糞便検査をしたり、尿検査をしたり、エコー検査をしたり、いろいろな検査をします。

 するとですね・・・・

 いろいろな病気の診断がつきます。もちろん、診断をつけることは、わたくしたちプロの獣医師にとって非常に重要なことになります。的確な診断をつけて、その診断をもとに治療方針を立てて、農家さんと協力しながら治療や予防対策を実施していく。とても大切なことです。

 しかし・・・・

 簡単に治るような病気であればよいのですが、残念ながら簡単には治らない、もしくは現在の獣医療では治すことができない病気に遭遇することがあります。小生は今まで何頭もそのような症例と向き合ってきました。答えは毎回違います。牛さんの月齢や年齢、病気の種類やその時の状況、農家さんの気持ち、世の中の状況や流れなどそれこそありとあらゆることを考えて、何が一番よいのか悩み、答えを模索しながら方向性を決め、前に進んでいくしかありません。簡単には割り切れない問題も多々あります。そのような時に、臨床獣医師としての矜持(きょうじ)が問われます。産業動物獣医師としての根幹となる価値観が非常に重要になってきます。

 自分はどのような獣医さんになりたいのか?

 もしも自分が農家さんだったら、どのような獣医さんに診察にきてもらいたいのか?

 このような問いかけを自分にしてみることは、意外と大切なことかもしれません。小生、まだまだ修行の身。頑張らなくてはいけません。

今週の動画「Sulfur ointment part 2 硫黄軟膏 その2」

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