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蓮沼浩のコラム
第674話:水際対策

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2021年7月15日

 家庭菜園が激しい雑草と虫と病気の総攻撃をくらい、一部壊滅的な状態になっています。例年と比べて今年は頑張っていたのですが、ついに劣勢にたたされてきました。このまま流れに任せて崩壊するのではなく、一発テコ入れをしたいと考えています。

 農場での疾病予防の中で非常に重要なポイントは水際対策になると小生は思っています。家畜市場から買ってきた牛さんを導入する場合は要注意です。水際対策の肝になります。いろいろな日齢や月齢の導入があると思いますが、とにかく子牛を導入する場合、牛ウイルス性下痢症、マイコプラズマ・ボビス、ロタウイルス、クリプトスポリジウム、牛RSウイルス、サルモネラ、病原性大腸菌、牛伝染性リンパ腫などなど様々な病原性微生物が侵入してくる可能性があります。油断するとあっという間に牧場内に病気が蔓延してしまいます。

 しかし・・・・・水際対策を行うにしても、実は検査体制の確立などまだまだ問題があります。牛ウイルス性下痢症に関しては各牧場で着地検査を実施するところが増えてきています。しかし、その数はまだ多くはありません。ましてや、そのほかの疾病となるとなかなか難しいのが現状です。シェパードでは導入子牛の牛伝染性リンパ腫の着地検査を実施していますが、そのようなことが出来る農場も限られています。導入した子牛のワクチネーション、係留期間を設けた隔離、衛生対策の徹底など牧場の規模がおおきくなればなるほどしっかりとした措置をとらなければ、被害が甚大になります。

 その一方で外部導入のない牧場は一度しっかりとした飼養衛生管理体制を構築し、ワクチネーションなどを行うことで、時間がかかる場合もありますがおどろくほど病気を少なくすることができます。外から病気が入ってこないので牧場内がクリーンな状態を維持できていることが大きいと思います。ポイントさえつかめば、外から導入を頻繁に行うところと比べて各段に予防がしやすいと小生は考えています。

 ヒト様の世界では「デルタ株」が簡単に防衛ラインを突破して国内に侵入し、どんどん広がっています。さらに強力な「ラムダ株」も控えています。どこまで水際対策を徹底できるかに、これからの命運がかかっているようにも感じます。牛さんの世界と違い、ヒト様の世界の水際対策はありとあらゆることを考えなくてはいけないので、調べれば調べるほど半端なく難しくて愕然とします。

今週の動画「Sulfur ointment part 1 硫黄軟膏 その1」

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